インプラントの歴史

インプラントの幕開けは、1930年代のStrockらによる歯内骨内インプラントから始まった。臨床においては Chercheve(1961年)のスパイラルインプラント、Linkow(1970年)のブレードインプラント、 Sandhouse(1969年)CBSインプラント。川原(1978年)のサファイアインプラントなどが支持された。これらの骨とインプラント界層との間には偽歯根膜が介在し、理論的には線維性骨結合と考えられた。
ところがBranenmark(1977年)らは、金属の中でチタンと骨は直接的に結合する可能性のあることを示唆した。これを Osseointegration と表現した。その後、1985年以降にはチタンの表層に厚さの異なったハイドロシアドタイ(HA)をコーティングしたインプラントが開発された。これらは骨伝導能をもち、HAと骨とは化学的に結合し、Biointegrationと表現した。

1985年以降は各種インプラントが次々に開発される。そして骨が不足した部位には、骨幅を増大させるために膜を利用したり、オトガイ部や腸骨の一部をインプラント部位に移植する骨移植との併用などによるGBRなどが行われるようになった。また上顎洞(じょうがくどう)の空洞の粘膜を拳上し、得られたスペースに自家骨移植あるいは人工骨の補填材を使って増骨する上顎洞底拳上術(サイナスリフト)、さらに下歯槽神経移動術の適用が報告されている。さらに上顎洞底拳上術の変法としてソケットリフト法などが行われるようになった。